澄泥硯(汾河)

汾河澄泥硯は、唐・宋時代から盛んで二酸化ケイ素を多く含んだ泥土を濾過して焼成してつくった硯です。
この澄泥硯は非常に手間がかかるため、希少性が高まっています。

「手間をかけなければ良い硯は出来ない」

老職人は言います。

採泥から硯として出来上がるまでおよそ半年の期間を要し、自然石よりも優れた磨り心地を作り出すことに成功しました。

かつて清代の乾隆皇帝が澄泥硯に大変驚き、心を奪われたのも納得できます。

4大名硯の1つで端渓硯・歙州硯・とう河緑石硯に並ぶ澄泥硯は鋒鋩が非常に強く、特に唐墨との相性が良好です。

硬くて磨りにくかった墨もすらすらおります。

その他、松煙墨や青墨との相性がいいようです。

澄泥硯に関する詳しく解説された澄泥硯 歴史とその実体 橋本吉文著も興味のある方はどうぞ。

硯ファン必見です。

汾河澄泥硯製造工程





採泥・選泥




汾河澄泥硯
は、汾河の支流の泥土や唐代の湖底の層土から採取した泥土を用いて作ります。

まず始めに泥を採取しますが、どんな泥でも硯の原料となる訳ではありません。

泥に含む成分「二酸化ケイ素」が60%以上必要とされ、これが墨を磨る為に不可欠な鋒鋩(ほうぼう)となります。


水に漬け濾過
次に、泥を小さく砕き、地面に並べて数日間、天日に晒します。

その後、清水に漬け、充分に撹拌を行い、非常に細かいザル(絹)で荒いものを取り除き、濾過します。


袋で沈殿
微細になった泥をホースで布袋に詰め、日が入らない地下室で吊るし並べます。布袋を下段から中段、そして上段へと吊るし替え、完全に水切りをして泥土を沈殿させます。

この工程は最低半月程度かかり、また夏と冬は沈殿の状態が悪くなるので、風通しの良い春と秋のみ行われます。


粘土の型詰め
袋から取り出し、弓形のワイヤーで汚れた表面を削ります。一定の重さをつける為に、黄丹團(酸化鉛との混合物)を適量に加え手で練り込みます。



影干し後 天日乾燥
これをある程度の大きさに切って木型に詰め、木型の上から金槌で一定の密度になるまで叩きます。それを取り出し陰干し、天日干しとゆっくりと乾燥させていきます。

非常に時間と手間がかかっていますが、ここまででもまだ作業の半分くらいです。



ノミで成形・彫刻
レンガのように固くなった泥土板をノミで整形し、二段階に分けて彫刻します。


地下釜で焼成
彫刻後、耐火桶の中に硯を入れ、地下窯で火入れします。

この時、硯にヒビが入るのを防ぐ為に、低温から徐々に高温約1000度まで上げていきます。

小さい硯で2〜3日、大きい硯だと1週間も焼き続けます。

焼成の欠点として全てが精品となる訳ではなく、火の回り具合によって割れなどのロスが多々発生します。


磨き・蜜蝋仕上げ
仕上げに綺麗なツヤを出す為、鍋で炊いた蜜蝋(蜜蜂が巣を作る為に分泌する蝋)の中に20分ほど漬け、ブラシやペーパーで磨き完成です。

一面一面出来上がった硯は窯変し、色は非常に豊富で、独特な甘い匂いを発し、その上、墨を磨れば心地よくとろけるように磨墨・発墨します。

表示方法: 写真のみ一覧説明付き一覧

17